障がい者雇用率を引き上げる方針【労働政策審議会障害者雇用分科会】2023年1月18日 発表

障がい者法定雇用率が変わります

2022年度現在の障害者雇用率は、民間企業「2.3%」、国・地方公共団体「2.6%」です。都道府県等の教育委員会は「2.5%」となっています。しかし法律の改正によって、2023年度からの障害者雇用率は「2.7%」とします。また雇入れにむけて計画的に対応するため、段階的に引き上げる方針を労働政策審議会障害者雇用分科会は掲げました。2024年度から「2.5%」、2026年度以降からは「2.7%」となります。段階的に引き上げる点は同じですが、国及び地方公共団体等では「3.0%(教育委員会は2.9%)」とします。

参考「労働政策審議会障害者雇用分科会」:URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001039344.pdf

 

算定特例が延長

精神障がい者の雇用が義務化され、雇用率が引き上げられたのは平成30年4月からです。しかし精神障がい者雇用については職場定着率の低さが問題となっています。厚生労働省公表のデータによると、平成30年の障害者の平均勤続年数は身体障がい者が10年2ヵ月に対し精神障がい者は3年2ヵ月と低い水準となっています。

参考「厚生労働省」:URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000657531.pdf

精神障がい者の職場定着の推進

職場定着を進めるために、短時間労働者の雇用率の算定を特例措置として令和4年度末まで1人に対して1カウントとしています。特例措置が実施される前は、1人に対して0.5カウントでした。ここでいう短時間労働者とは週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障がい者を指します。また、特例措置の対象者に適当とされているのは以下の2つの条件を満たす人です。

1.新規雇い入れから3年間の方

2.手帳取得から3年間の方

この特例措置は2022年度末までとされていましたが、延長が予定されています。

参考「労働政策審議会障害者雇用分科会」:URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001039352.pdf

より短い時間の労働者も実雇用率へ算定

労働時間がさらに短い、特定短時間労働者も雇用算定の対象となります。特定短時間労働者とは週の労働時間が10時間以上20時間未満の方です。重度身体障がい者、重度知的障がい者、また精神障がい者1人の雇用0.5カウントします。全体として法定雇用率は大きく上がることとなるので、企業としては障がい者の受入れの体制と準備が必要となります。ただしここで算定対象となる労働者から、就労継続支援A型の利用者は取り扱いはされません。

参考「労働政策審議会障害者雇用分科会」:URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001049750.pdf

まとめ

精神障がい者の雇用を中心にしましたが、実際のところ、精神障がい者雇用が義務化されたのはごく最近のことです。公務員を含め、一般企業も精神障がい者を雇用する体制が整っているのか筆者は疑問です。身体障がい者や知的障がい者を受けいれるための受入れ体制が取れていても、精神障がい者についてはまだ模索している職場も多いかと思います。法定雇用率の上昇を踏まえて、障がい者雇用について社会全体で考えるきっかけになればと思います。